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はじめまして

はじめまして、司法書士の高田啓です。

    

まずは自己紹介、ということで、私が司法書士を志した理由を書きたいと思います。

 

私が司法書士になろうと考えたのは、大学2年から3年にかけての頃です。

 

日本は(議論はありますが)「法治国家」ですが、大学で法律学を専攻しない限り、学校で法律をしっかりと勉強する機会がありません。

 

人は毎日のように契約を結んで生活をするにもかかわらず、契約が守られなかったときにどうすればよいのかすら、義務教育では教えてもらえません。

 

私は、幼い頃から自分を縛り付ける「ルール」というものに反感を持っていました。

正確には、「ルールだから」という一言によってすべてを済ませてしまうことを、正しいこととは思えませんでした。 

 

大学の法学部に入り、法律を本格的に勉強するようになって、一口に「ルール」といっても様々な種類があるということを学びました。

たとえば、「常識」というものも「ルール」の一つですが、「常識」は職業や世代、場所によっても変わってくるものであり、あやふやなものです。

この「常識」という言葉のもとに権利が侵害されることは、少なくありません。

 

つまり、「常識」というものはとても曖昧であり、人間が1億人いれば1億通りの価値観や考え方がある。

だからこそ、「法律」という共通の決まりごとが必要になるのです。

 

それじゃあ何故、法律を共通の決まりごととして使うことが許されるのか?

一言で言えば、法律は日本国民みんなで作るものだから。

正確には、日本国民が選挙によって選んだ国会議員が法律を作るからです。

 

とはいえ、法律に定められたことが絶対という訳ではありません。

「悪法も法」という言葉がありますが、この言葉がまかり通るような社会は真の「法治国家」とは言えないのです。

たとえ法律で決められたことといえども、「基本的人権」を侵害することは許されません。

 

基本的人権は日本国憲法に条文として記載されていますが、国から与えられているわけではありません。

人が人であるだけで、生まれながらにして有している権利が基本的人権です。

日本国憲法はこれを条文として記載することによって、基本的人権の内容を確認しているに過ぎません。

基本的人権は「前国家的権利」と呼ばれています。つまり、基本的人権は国家よりも前に存在しているものだという意味です。

 

そして、裁判所は「違憲立法審査権」を有しています。

「違憲立法審査権」とは 、裁判所が、法律、政令、条例などが憲法に違反していないかを審査し、違反している場合はそれを無効とする権限のことです。

このように、たとえ国民みんなで決めた法律といえども基本的人権を侵害することはできないのです。

 

今まで長々と書いてきましたが、私はなにも「ルール」を守らなくてもよいと言いたいわけではありません。

社会が成り立ち、円滑に回るためには、「ルール」は必要不可欠のものです。

ただ、「ルール」は手段であって目的ではありません。

「ルール」について考えるとき、大事なのはその「ルール」が何のためにあるのか、ということです。

場合によっては、「ルール」を守らせることが間違った結果になることもあります。

特に「常識」というものは、結局のところ個人の価値観でしかないため、「常識」を人に押し付けるのはただのわがままだということになりかねません。

 

話が逸れましたが、私が司法書士を志した理由は、「ルール」や「常識」といった言葉のもとに理不尽な目に遭っている人々の権利を護ることのできる、法律に携わる仕事に魅力を感じたからです。