以前、貸金返還請求のご依頼を受けました。
要するに、「知人にお金を貸したのだけれど返して貰えないので、裁判を起こして取り返したい」という依頼です。
日本人は「訴訟嫌い」という国民性があるとよく耳にしますが、そもそも好きで訴訟を起こす人などいないわけで、訴訟を起こさざるを得ない状況があるから、訴訟を起こすことになるわけです。
それは好き嫌いの問題ではないと私は思うのですが、どうでしょうか。
もし「訴訟嫌い」という言葉が、訴訟を起こす必要性があるにもかかわらず、それを避ける。訴訟沙汰と聞くとネガティブなイメージがあるから訴訟にはしない、という国民性を指してるのだとしたら、異論はあるでしょうが、私は不健全であると感じます。
訴訟を起こさずに、当事者間の話し合いのみで紛争が解決するのなら、もちろんそれに越したことはないわけですが、むしろ、当事者間の話し合いでは解決しないからこそ紛争と呼べるわけです。
では、当事者間の話し合いで解決しないなら、どうするのか。
(1)泣き寝入りをする
(2)暴力的・違法的手段に出る
(3)第三者に判断を委ねる
大まかに分けて、上記3通りの選択肢があると思います。
(1)(2)の選択肢が健全とは言えないことは同意していただけると思うので、(3)第三者に判断を委ねることになります。
ただ、第三者といっても、どちらかに肩入れをしたり、好き嫌いで物事を判断をするような人に判断を委ねることはできません。
そのため、公の機関であり、好き嫌いではなく客観的な法律という基準に従い、証拠によって判断をする裁判所に訴訟を起こすことになります。
つまり、訴訟とは公平に争いを解決するためのものであって、それを嫌うというのは私には強い違和感を感じます。
ですから、訴訟を起こすことに後ろめたさや抵抗を感じる必要はありません。
法律という客観的基準に従って解決する以上、必ずしも自分の望む結果が出るとは限りませんが、 他の方法に比べて訴訟は公平な解決方法です。
ただ、この「公平さ」というものは、当事者双方が同等の法律知識を持っているという前提で成り立っています。
裁判所は、当事者間に不平等にならない限度で書類の書き方等教えてくれますが、どちらか一方に肩入れすることはできないため、法律の素人の方が自分でやろうとするとどうしても限界があります。
訴訟を起こそうと考えている方は、法律の専門家である弁護士や司法書士にご依頼されることをお勧めします。