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敷金は返ってくるお金です

 アパートやマンションなどを借りるときに、敷金・権利金・礼金・保証金・仲介手数料などといった名目で家主や不動産仲介業者へお金を払いますが、このうち敷金は、契約が終了して物件を明け渡したあと、原則として全額戻ってくるお金です。

 

 そもそも敷金とは、借主の不注意等によって物件にひどい傷や汚れが生じてしまった場合に、それらの損耗を修繕するために使われるお金です。普通に使っていて生じてしまう傷や汚れ(通常損耗)については、借主が修繕費用を負担する必要はなく、敷金から控除されることは原則としてありません。

 賃貸借契約書に、通常損耗の修繕・交換費用について借主が負担するとの記載がされることがありますが、このような原状回復特約は消費者契約法10条や公序良俗違反となり原則として認められません。ただし、オフィスビルの賃貸借の場合には居住用の賃貸借とは異なるため、原状回復特約が有効な場合もあります。

 

 なお、訴訟となった場合には、家主側が、通常損耗を超える毀損があること又は有効な原状回復特約があることを証明する必要があります。

 

 しばしば 「契約書に書いてあるから」という理由で敷金を返してもらえないという話を聞きますが、通常損耗の修繕はたとえ契約書に書いてあろうとも原則として家主が負担するものですので、注意しましょう。