平成29年5月26日に「民法の一部を改正する法律」が成立、同年6月2日に公布され、平成32年(2020年)4月1日が施行日と決定されました。
これは、市民相互の関係を規律する私法の一般法である民法を約120年ぶりに改正するものであり、私たち一人ひとりの生活に直接に影響を与えるものです。
経過措置の基本的な考え方としては、施行日を基準として、施行日前は旧法が適用され、施行日後は改正法が適用されることとなります。
つまり、原則として、施行日後にされた意思表示(契約・法律行為)に改正法が適用されますが、例外もあります。
重 要 論 点 項 目 | 改 正 の 内 容 | |
1 | 錯誤 |
・動機の錯誤の明文化 ・取消権構成 |
2 |
消滅時効の起算点 |
・主観的起算点の導入 ・短期消滅時効の廃止 |
3 |
時効障害事由 |
・完成猶予と更新で整理 ・協議による完成猶予制度の導入 |
4 | 法定利率・中間利息控除 |
・緩やかな変動制の導入 ・当初は3% |
5 |
債務不履行・損害賠償 |
・帰責事由概念の変容 |
6 | 契約解除 |
・帰責事由の非要件化 ・催告解除と無催告解除の要件の明確化 |
7 | 危険負担 |
・履行拒絶権構成の採用 |
8 | 債権者代位権 |
・債務者の管理処分権の存続 ・必要的訴訟告知 |
9 | 詐害行為取消権 |
・倒産法上の否認権との平仄 ・必要的訴訟告知 ・効果の見直し |
10 | 連帯債務・不可分債務 |
・要件の見直し ・絶対効の見直し |
11 | 根保証 | ・貸金等根保証の規律の根保証一般への拡大 |
12 | 保証人保護の方策の拡充 | ・保証意思宣明公正証書による保証意思の表示とその例外 |
13 | 譲渡制限特約 | ・債権的効力説への変更 |
14 | 将来債権の譲渡 |
・明文化 ・譲渡制限特約との調整 |
15 | 弁済 | ・第三者弁済の要件の変更 |
16 | 相殺 | ・無制限説の明文化と拡充 |
17 | 定型約款 | ・一般的規律の明文化 |
18 | 売主の担保責任 |
・契約不適合責任として明文化 ・追完請求権 ・代金減額請求権 |
19 | 消費貸借 |
・要物性の緩和 |
20 | 敷金・借主の原状回復義務 | ・判例法理の明文化 |
21 | 賃貸人たる地位の留保 | ・合意による留保に関する規律の創設 |