本人訴訟支援

 

 

本人訴訟という選択


 2011年に行われた最高裁判所の集計によって、司法制度改革により弁護士の数が10年前の約1.8倍に増加したにもかかわらず、原告又は被告に弁護士が付かない「本人訴訟」が地方裁判所の民事裁判に占める割合が14ポイントも増え、73%に上がっていることが明らかになりました。

 

 本人訴訟が増加している背景には、弁護士や司法書士に訴訟代理の依頼をするとそれなりの費用がかかるため気軽には頼めないといった状況や、インターネットなどで訴訟に関する情報が集めやすくなり本人訴訟が起こしやすくなったという事情があります。

 

 

 

 

 

 

本人訴訟のメリット・デメリット


 本人訴訟のメリットは、訴訟にかかる費用が安く済むということと、代理人に全て任せるのではなく自ら紛争解決に取り組むことによって、紛争に対する区切りを付けやすいということ、訴訟進行の透明性等があります。

 

 一方で、本人訴訟には無視できないデメリットがあります。

  • 手続に時間が取られる。
  • 手続上のミスで訴訟を進められない可能性がある。
  • 法律上必要な主張立証ができず、勝てるものも勝てないことがある。

 

 特に問題なのは、適切な主張立証ができず「勝てるものも勝てない」という事態です。

 このようなことが起こる理由は、民事訴訟手続の大原則の1つである「弁論主義」によるものです。「弁論主義」とは、訴訟当事者の主張しない事実を裁判所は判決の基礎とすることができないというものです。これは、裁判所が当事者の一方に肩入れすることによって公平公正な裁判ができなくなることを防ぐために必要な原則です。

 

 つまり、訴訟当事者は権利の発生・消滅という法律効果の判断に必要な事実を不足することなく裁判所に提出しなければなりません。しかし、十分な法律知識がなければこれを実現することは容易ではありません。

 

 

 

 

 

 

司法書士による『本人訴訟支援』


 当事務所は、本人訴訟に臨まれる方を全力で支援いたします!

 

 司法書士業務の1つに、「裁判書類作成と助言指導による本人訴訟支援」があります。これは司法書士法第3条1項4号に規定する「裁判所又は検察庁に提出する書類」の作成業務(裁判書類作成関係業務)であり、司法書士の前身である代書人制度が定められた1872年(明治5年)から続く司法書士業務の柱の1つです。

 また、平成15年の司法書士法改正により、法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所において取り扱うことのできる民事事件(訴訟の目的となる権利の価額が140万円を超えない請求事件)等について代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。

 

 民事訴訟手続の専門家である司法書士が、訴訟手続及び法律知識の面で当事者を支援し、手続上のミスで訴訟が進まなかったり、主張立証不足によって「勝てるものも勝てない」ということのないよう、本人訴訟を支援いたします。

司法書士による住所調査


 裁判をするためには、相手方の住所と氏名を訴状等に記載して、裁判所に提出する必要があります。そのため、原則として、相手方の住所氏名が分からなければ裁判を起こすこと自体ができないということになります。

(ただし、相手方の預金口座番号を知っている等、裁判所を通じて第三者から情報を得ることによって相手方の住所氏名を特定できる場合には訴訟を起こすことが可能です。)

 

 司法書士は、「業務に必要な範囲で」住民票や戸籍などを取得して、住所等を調査をすることができます。これは、国民の裁判を受ける権利を実現するためには重要なことです。

事務所からのお知らせ


賃貸住宅に入居する際にしておくこと

 

住所移転のために引越しをする際、賃貸人と賃借人との間で、原状回復に関してトラブルになってしまったという事例がとても多いです。

 

経年変化および通常の使用によって生じた損耗は、原則として賃借人に原状回復をする義務はありません。

また、契約書の特約によって上記の負担を賃借人に負わせることとなっているケースもありますが、そのような特約があるからといって無条件に認められるわけではなく、賃借人にとって一方的に不利益となる内容の場合には消費者契約法によって無効となる場合もあります。

 

原状回復トラブルを防止するために、賃借人がすべきこととして、入居時に建物内の写真を撮影しておくことが重要です。

入居時にすでに生じている傷や劣化がある場合、当然ですが、それは賃借人が負担するものではありません。

しかし、訴訟手続きにおいて、それが「はじめから付いていた傷だ」ということを賃借人が証明できなければ、負担させられてしまうことがあります。

 

そのような立証責任を賃借人に負わせるというのは、賃借人からしてみれば理不尽に感じることです。

しかし、白黒つけるという裁判の性質上、裁判所から立証を求められることがあります。

 

入居の際には、すでに付いている傷や劣化について写真や動画などの記録を取るようにしましょう。

残念ながら賃貸人の肩を持つ不動産仲介業者もいるため、自分で撮影して保管をすることが大切です。

 

 

法律資格者による詐欺の二次被害が増えています!

 弁護士や司法書士、行政書士にワンクリック詐欺の解決依頼をして、お金を振り込んだところ、その後の連絡がなく、二次被害を受けたというご相談が増加しています。

 

 「ワンクリック詐欺」とは、アダルトや出会い系サイト、送られて来た電子メールに記載されているURLなどを1回クリックすると、「ご入会ありがとうございました。」等の文字やウェブページが表示され、一方的に契したことにされて多額の料金の支払を求められることをいいます。

 このような場合、そもそも契約は成立していないため料金を支払う必要はありません。また、パソコンのIPアドレス等から住所を特定されることはないため、詐欺業者から取り立てを受ける心配はなく、無視をするのが一番の対策です。

 また、パソコンの画面上に表示された請求警告等は、タスクマネージャーなどから強制的に閉じることで消すことができます。

 

 更に問題なのは、不安にかられた被害者からお金を騙し取る法律資格者が存在することです。

 そのような専門家は、実際に資格を持っているものの、詐欺業者に名義を貸している「提携法律家」である可能性があります。

 被害者からの相談によると、インターネットで検索をして上位に表示された専門家に依頼をしたところ、被害に遭ったというケースが多いようです。

 

 法律資格者が詐欺を行うなどあってはならないことですが、実際に被害が増加しているため、ご注意ください。

 

 

クレジット取引被害にご注意を

近年、クレジット取引は消費者の見えない部分で複雑化しており、取引被害に遭う人が増加しています。

 

それに対応して、法律の改正も継続的に行われていますが、対応しきれていないのが現状です。

 

クレジット取引被害の回復を難しくしている原因は、ずさんな決済代行業者の関与や国際ブランド(VISAやMasterCardなど)の普及による越境問題化があります。

その結果、思いもよらず悪質な販売業者との間でクレジット取引をしてしまい、被害回復をしようにも取引相手の情報が分からない、という事態が発生しています。

 

そのような場合、クレジット会社も販売会社を把握していないことが多く、被害の回復が困難となります。

 

平成28年の割賦販売法改正により、ある程度のクレジット取引環境の改善は見込まれますが、十分とは言えません。

 

それでは、泣き寝入りするしかないのか。販売業者の詳細が不明な状況においては、現状では、国際ブランドカード会社に対して「チャージバック・ルール」の利用を申し立てるという方法があります。

 

「チャージバック・ルール」とは、国際ブランド規約によって定められた自主的な返金手続きであり、その内容は公開されていませんが、条件を満たす場合には既払金の返還を受けることができます。

ただし、利用申し立てができるのは国際ブランド加入者であるクレジット会社であり、消費者からの申し立てはできないことになっています。

そのため、消費者は、クレジット会社に対してチャージバック・ルール利用申し立てをするよう働きかける必要があります。

 

消費者自らクレジット会社と交渉するのは難しい場合もあります。その場合には、消費者問題に詳しい認定司法書士や弁護士にご相談ください。

 

 

消費者問題公開セミナー開催のお知らせ

1.日  時: 平成29年2月19日(日)
        13時30分~16時30分

        (開場・受付開始は13時00分)

2.会  場: 日司連ホール

        (東京都新宿区本塩町9-3司法書士会館地下1階)

3.テ ー マ: 「インターネットの光と影~ネット社会を生き抜くために~」

4.内  容:(1)報告:『最近の相談事例と東京都の取り組み』 
       【講師】東京都消費生活総合センター
           相談課長 浅倉 美文 氏

       (2)講義:『ネット社会で必要な法律知識』
       【講師】東京司法書士会消費者問題対策委員会委員

       (3)講演:『インターネットに関連する諸課題への対応』 
       【講師】一般社団法人セーファーインターネット協会
           専務理事 吉田 奨 氏

 

 

予約不要で一般の方も参加できます。参加費用は無料です。

興味のある方は、ぜひご参加ください!

 

 

「ブラックバイト110番」開催のお知らせ

東京司法書士会主催「ブラックバイト110番」を下記の日程で開催します。

平成28年12月3日 10:00~16:00

相談窓口電話番号:0120-535-771

詳細は東京司法書士会ホームページにて

http://www.tokyokai.jp/news/2016/news1611101547.html

 

ブラック企業とは、広義の意味で「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」のことを言います。

日本では以前から、違法な長時間労働や残業代の不払い、退職の強要や不当解雇といった、労働者を人間として扱わない「ブラック企業」問題が深刻となっています。

 

労働基準法1条1項

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」

 

労働基準法は、人間が人間らしく生きるために最低限保証されなければならない労働条件を定めたものです。

それを守らないブラック企業は、労働者を、そして「日本を食いつぶす妖怪(文春新書、今野晴貴著)」です。

 

ブラック企業は、詐欺や強迫その他あらゆる手段を用いて労働基準法の潜脱を図り、労働者の権利を侵害しています。しかし、その多くは違法なものであり、法的手続きによって権利の実現が可能です。

また、労働基準法には刑罰規定もあるため、ブラック企業の行為が犯罪となる場合もあります。

 

現在の日本社会において、ブラック企業は最大の悪と言えます。

この問題を解決するためには、法律家や行政機関、労働者が団結して取り組む必要があります。

 

 

東京司法書士会「少額裁判報酬助成制度」のお知らせ

平成28年1月5日から 、

司法書士の簡易裁判所における代理権の活用を推進することを目的とする「東京司法書士会少額裁判報酬助成制度」の運用が開始しました。

 

利用要件に該当して審査に通った場合、

司法書士への報酬の一部を東京司法書士会が負担してくれます。

 

①訴額が50万円以下で、司法書士が簡易裁判所における訴訟又は調停の代理人になること。

②依頼者から着手金として金2万円の支払いを受けて、本助成制度の利用と個人情報提供に承諾していること。

などが利用できる要件になります。

 

費用の負担を少なく訴訟を提起して、権利の実現や紛争の解決ができる機会です。

同一の司法書士が本制度を利用できるのは1年度中に2回までとなるため、希望する方はお早めにご相談ください。

 

その他詳細はお問い合わせください。

 

 

 

不倫による慰謝料請求

婚姻関係にある者(A)が不倫をして不貞行為(配偶者ではない相手と肉体関係を持つこと)に及んだ場合、配偶者(B)に対して不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負います。

 

また、不貞行為の相手方(C)が婚姻関係にある場合には、Aは相手方の配偶者(D)に対しても損害賠償責任を負うことがあります。

 

不貞行為の相手方Cが、Aが婚姻関係にあることを知りながら不貞行為に及んでいた場合には、BはCに対しても損害賠償請求をできることがあります。

 

ただし、請求が認められるためには不貞行為の証拠(2人がホテルに入る瞬間などの写真など)が必要です。

 

そのため、証拠隠滅を招く軽率な行動(不倫を問いただすなど)はせず、言い逃れのできない決定的な証拠を掴むことが肝心です。

 

 

 

『判決による登記』-登記義務者(売主などの現登記名義人)が協力してくれない場合の登記手続

不動産登記手続きは、原則として、登記権利者(買主等)と登記義務者(売主等)が共同して申請する必要があります

しかし、何らかの理由によって、一方の協力が得られない場合もあります。

その場合にはどうすればよいのか判決による登記』手続きについてご説明します。


結論から言いますと、

①登記手続きを拒むなどして協力を得られない相手に対して、登記手続請求訴訟を起こし、確定判決等を取ります

②その確定判決等を添付書類として単独で登記を申請します。


注意点として、単独登記の添付書類として認められる確定判決等は、一定の要件を充たしている必要があります


具体的には、以下の通りです。

登記義務者に対して、判決主文中で、一定内容の登記手続を命ずる判決であること。

給付判決であること。

確定判決の正本であること。


また、相手方の住所が変わっているような場合には、前提として登記名義人住所変更の登記が必要となります。

その場合は、債権者代位権に基づいて、相手方に代わって住所変更の代位登記をすることになります。


住所変更に関して当職が扱った特殊な事例として、相手方が現在滞在している場所が住民票上の住所と異なるケースがあります。

今居る場所を現住所と捉えると、前提としての住所変更登記が必要になりますが、それには住民票などの公的書類で現住所を証明しなければなりません。

しかし、住民票には古い住所が記載されているため、前提としての住所変更登記ができず、結論として、せっかく判決を貰っても所有権移転登記をすることができないということになります。


このような場合、今居る場所を現住所ではなく「居所」と考えて、訴状には住民票上の住所(及び登記記録上の住所)と併記して作成します。


そのうえで、管轄の法務局と相談をして、登記手続きを行うことになります。


登記手続請求訴訟は登記手続きの前提として行うものですので、訴状の作成は登記及び裁判手続の専門家である認定司法書士に相談するのが確実です。




内容証明郵便を活用しよう

訴訟を起こす前に、通常、内容証明郵便を相手方に送ります。

 

内容証明郵便には 「①証拠力を得る」 「②心理的圧迫を加える」 という効果があります。

 

例えば、クーリングオフをする場合、相手方に意思表示をすることによって契約が解除されますが、電話や普通郵便で通知をしたとしても証拠が残りません。「そんな通知は受け取っていない。クーリングオフの期間はもう過ぎたから金を払え」と言い逃れをされてしまう可能性があります。内容証明郵便は郵便局が通知の内容を証明してくれるため、その心配がありません。さらに、特定記録を併せて使えば、相手方に通知を出したという証明になります。

 

また、内容証明郵便には、相手方に宣戦布告をし、心理的圧迫を加えるという効果があります。

訴訟や内容証明に縁のない通常の人にとっては、代理人司法書士名義の内容証明郵便で請求をされるとそれだけで精神的なプレッシャーを感じ、不安になります。そのため、これまで知らんぷりを決め込んでいた相手から返事が来たり、お金を返してくれるといったことがあります。

 

当職が契約の解除や貸金請求、損害賠償請求などの依頼を受けた場合、まずは代理人として内容証明郵便を作成して通知をします。

この通知には、一定の期間内に支払がなければやむを得ず訴訟を起こすことになる旨を記載するため、相手方から何らかの反応があります。それでも、相手方が応じない場合には、実際に訴訟を起こすことになります。

 

訴訟を起こす前に内容証明郵便を送って相手方の反応をみたいという場合に、当職が代理人として内容証明郵便で相手方に請求いたします。その後、事情に応じて訴訟を起こすかどうかを判断することも可能です。

 

まずは内容証明郵便をとお考えの方は、当職までご相談ください。

 

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誤振込の返還に応じてもらえない!?

「誤って間違った口座に振り込みをしてしまった」

そんなことはそうそうあることではありませんが、ないとは言えません。

振り込んでしまったお金は返してもらえるのでしょうか?

答えは、勿論返してもらえます。

 

民法第703条

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

このような、法律上の原因がないにもかかわらず本来利益が帰属すべき者の損失と対応する形で利益を受けることを、「不当利得」といいます。

そして、損失を受けた人は利得を得た者に対し、民法第703条に基づき不当利得返還請求権を有します。

 

それでは、銀行に組戻しの続きを依頼したが、相手方に拒否されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。

先日、実際にそのような相談がありました。

誤振込みをしてしまった場合、判明している受取人の情報といえば口座番号とカタカナの口座名義人名だけです。 

銀行に問い合わせても個人情報のため教えてくれる見込みはほとんどありません。

通常、訴訟を起こすためには住所と氏名で相手方を特定してする必要があります。しかし、それではこのような場合、受取人と話し合うことはおろか裁判をすることもできないということになってしまいます。それはあまりに理不尽な結果です。

 

このような場合でも、訴訟手続きを利用してお金の返還を受けることが可能です。

詳しくは当事務所までご依頼ください。

 

ちなみに、受取人が口座からお金を引き出した場合、詐欺罪にあたります。

 

 

 

婚外子の相続分を2分の1とする規定は違憲と判断されました

 平成25年9月4日に、最高裁判所大法廷において、民法900条4号ただし書の嫡出でない子(婚外子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定が、日本国憲法14条1項(法の下の平等)に違反するという決定がされました

 この決定がされたことによって、平成13年7月1日以降に発生した相続について、婚外子の法定相続分が他の相続人である子の相続分と同率として取り扱われるようになると考えられます。

 ただ、すでに裁判や当事者間で合意がなされているものについては影響はありませんので、注意が必要です。

 

 最高裁判所が法令の規定を違憲と判断したのは今回で9件目になります。

 今回の決定は、平成7年に最高裁大法廷でされた決定を覆しての違憲判断となります。その背景には、国民の持つ「家族像」が時代とともに変化しているということがあります。

 また、生まれてきた子には選択の余地がないということ、子を個人として尊重するべきであるという考え方が国内外で確立したことが理由のひとつとなっています。

 

 

 リンク:最高裁判所ホームページ

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83520&hanreiKbn=02

 

 

敷金は返ってくるお金です

 アパートやマンションなどを借りるときに、敷金・権利金・礼金・保証金・仲介手数料などといった名目で家主や不動産仲介業者へお金を払いますが、このうち敷金は、契約が終了して物件を明け渡したあと、原則として全額戻ってくるお金です。

 

 そもそも敷金とは、借主の不注意等によって物件にひどい傷や汚れが生じてしまった場合に、それらの損耗を修繕するために使われるお金です。普通に使っていて生じてしまう傷や汚れ(通常損耗)については、借主が修繕費用を負担する必要はなく、敷金から控除されることは原則としてありません。

 賃貸借契約書に、通常損耗の修繕・交換費用について借主が負担するとの記載がされることがありますが、このような原状回復特約は消費者契約法10条や公序良俗違反となり原則として認められません。ただし、オフィスビルの賃貸借の場合には居住用の賃貸借とは異なるため、原状回復特約が有効な場合もあります。

 

 なお、訴訟となった場合には、家主側が、通常損耗を超える毀損があること又は有効な原状回復特約があることを証明する必要があります。

 

 しばしば 「契約書に書いてあるから」という理由で敷金を返してもらえないという話を聞きますが、通常損耗の修繕はたとえ契約書に書いてあろうとも原則として家主が負担するものですので、注意しましょう。

 

 

 

重要な契約は公正証書に!

「公正証書」と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?

聞き慣れた言葉ではないですが、聞いたことはある言葉だと思います。

堅苦しい・難しいというイメージが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、実はちょっとした手間をかけるだけで、取引を安全・安心にすることのできる、便利なものです。費用もそんなにかかりません。

 

公正証書は遺言を作成する際によく利用されますが、その他にも、不動産の売買契約やお金を貸す(金銭消費貸借契約)などの重要な契約をする際にも利用できます。

 

公正証書の一番の特徴は、強制執行をする際に裁判手続を省略できる、というものです。

お金を貸したけれど返して貰えない、不動産を分割払いで売却したけど代金を払って貰えない、というような場合、通常は裁判を起こして判決を取り、相手の財産に強制執行をするという流れになります。

しかし、契約をする際に「強制執行認諾文言」を付した公正性証書を作成しておけば、このような場合に裁判手続を省略することができます。

 

また、契約内容を公正証書という形で明確にして残しておけば、後日契約内容について争いになるのを予防できるという効果もあります。

 

公正証書は公証役場で公証人が作成します。

作成する際には、事前に公証役場へ電話して打ち合わせをしましょう。

 

浜松市の公証役場は、浜松中区役所近く

静岡県浜松市中区元城町219−21

TEL:053-452-0718

日本公証人連合会ホームページ:

http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

 

 

 

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裁判外の交渉について

争い事が起こったとき、最終的には裁判で解決することになりますが、通常は訴訟を起こす前に当事者間で交渉をします。

 

その場合に問題となるのが、感情的になってまともに話し合いができなかったり、一方的に自分の主張ばかりして聞く耳を持たないため交渉が進まない場合や、そもそも相手方が交渉に応じなかったり、交渉しようにも相手方の居場所がわからない場合などです。

 

そのような場合、当事者間での交渉を続けるのが難しくなります。
こうなると、一方が泣き寝入りをするか、第三者を間に入れて交渉をするかになりますが、第三者を間に入れる場合には注意が必要です。

 

裁判外で交渉を行う場合、「裁判になった場合どのような結果になるか」という視点が不可欠です。
なぜなら、争い事は最終的には全て裁判で決着をつけることになるからです。
裁判になった場合の結果が予想できれば、交渉を有利に進めることができます。また、不当に低い条件で和解をしてしまうこともありません。

 

報酬を受け取って相手方と交渉をすることができるのは、弁護士と認定司法書士のみで、それ以外の者が交渉をするのは違法となります。
このような制限がある理由は、上述のように、裁判外とはいえ交渉をするためには法的知識が不可欠だからです。

 

法的知識が十分でない者を間に入れてしまうと、不当に低い条件で和解をしてしまったり、交渉を有利に進めようとするあまり不当な手段に出て相手方の権利を侵害してしまい、逆に相手方から損害賠償請求をされてしまうなど、よけいに話がこじれてしまうことになります。
特に暴力団や悪質な業者に依頼をしてしまうと、後から高額な報酬を請求されることになります。

 

病気になったら素人に相談するのではなく医者に診てもらうのが当然のように、争い事の相談は弁護士か認定司法書士にするようにしてください

 

当事務所では初回の相談は無料で行っていますので、まずはお気軽にお電話ください。

 

 

請求相手の住所が不明な場合は?

ご相談を頂いたときに、請求の相手方の住所がわからない、ということが少なくありません。

 

当然ですが、相手方の住所がわからなければ請求はできませんし、裁判を起こすこともできません。

そのため、弁護士や司法書士が受任した場合、必要に応じて相手方の住民票や戸籍を取得し、請求先を特定することになります。

相手方の過去の住所がわかれば、そこから住民票等をたどって現住所を調べることが可能です。

 

また、住民票等をたどっても、住民票を移しておらず、現住所がわからないということもあります。

その場合には、裁判所に住民票上の住所に請求の相手方が住んでいないことを明らかにして、訴訟を起こすことができます。この場合、「公示送達」という方法で相手方に訴訟が起こされたことを公示します。具体的には裁判所の掲示板に掲示をすることになります。

 

以上のように、請求の相手方の現住所がわからず、もうすぐ消滅時効が完成してしまうというような場合には、住民票上の住所を相手方の住所として訴訟を起こすことが可能です。

判決を取れば時効期間が原則10年となるため、請求権が消滅してしまうのを防ぐことができます。

 

なお、住民票や戸籍の取得のみを目的とする依頼を受任することは、法律上固く禁止されており、司法書士はそのような依頼を受任することはできません。

また、取得した住民票等は厳重に保管をし、第三者へ見せることはありません。

 

 

損害賠償請求-自然災害による被害を受けた場合-

日本は、地震や台風など、自然災害による被害が多い国です。そのため、建物などの建築物は、一定の安全性能を備えるように建築基準法などの法律で定められています。

しかしながら、老朽化した建物など安全性を欠く建築物も多く、自然災害によって被害を受けたというニュースを耳にすることは少なくありません。

 

3.11のように予想のつかない桁外れの災害の場合は別ですが、建築物の安全性に問題がありそれが原因となって被害を受けた場合には、建築物の所有者などに損害賠償請求をすることが可能です。

当事務所にご相談いただいた中にも、平成23年台風第15号によって被害を受けた方が建物の所有者に損害賠償請求をし、裁判上で示談が成立した事案があります。

 

自然災害だからといって諦めなければならないわけではなく、建物などの工作物が本来有するべき安全性を備えていなかったため、それが原因となって被害を受けたような場合には、民法717条に基づく損害賠償請求をすることが可能です

 

被害に会われた場合、事故当時の建物など損壊した工作物の様子を写真に撮るなどして、安全性に欠陥があったこと証明できるよう備えておくことが大切です。