令和3年 商業登記規則等の改正による取り扱い

商業登記規則等が改正され、商業・法人登記の取り扱いが大きく変わりました。

 

 ①印鑑提出任意化を踏まえた改正

 ②使用することのできる電子証明書の見直しについての改正

 ③オンラインによる印鑑の提出等及び電子証明書による証明の請求についての改正

 ④押印規定の見直しについての改正

 ⑤定款認証及び設立登記の同時申請の運用が開始

 

①印鑑提出任意化を踏まえた改正

(1)書面によって登記申請をする場合は、引き続き登記所届出印を、申請書・代理権限証書に押印しなければならない(印鑑の提出を要する)。

(2)登記所に印鑑を提出した者がいない会社の代表者が辞任する場合には、全ての代表者について、辞任したことを証する書面に押印した印鑑につき市区町村の作成した印鑑証明書を添付しなければならない。

(3)A法人の代表者がB法人である場合に、B法人の代表者XがA法人の職務執行者として印鑑の提出を行う際には、①XがB法人の代表者として印鑑の提出をしている場合には、当該印鑑を印鑑届書に押印する。②XがB法人の代表者として印鑑の提出をしていない場合には、Xが押印した印鑑につき市区町村の作成した印鑑証明書(作成後3ヶ月以内)の添付を要する。

 なお、登記所の作成した法人の代表者の印鑑証明書の添付は不要となり、代わりに登記所の作成した法人の代表者の資格を証する書面の添付を要することとされた。

 

②使用することのできる電子証明書の見直しについての改正

(1)書面による申請の場合

 改正前の取り扱いでは、申請書に添付すべき電磁的記録に記録された情報の作成者が印鑑を提出した者であるときは、当該電磁的記録に記録すべき電子証明書は、原則として、商業登記電子証明書に限られていた。

 改正後は、その場合であっても、代理人の権限を証する情報(委任状情報)については「マイナンバー電子証明書」及び法務大臣の指定する電子証明書も使用できることとされ、委任状情報以外の添付書面に関する情報については、それに加えて法務大臣の指定する電子証明書も使用できることとなった。

(2)オンラインによる申請の場合

 改正前の取り扱いでは、申請書情報及び添付書面情報に電子署名を講じた者が印鑑を提出した者であるときは、送信すべき電子証明書は、原則として、商業登記電子証明書に限られていた。

 改正後は、その場合であっても、①本人申請にかかる申請書情報及び添付書面情報については「マイナンバー電子証明書」及び法務大臣の指定する電子証明書も使用できることとされ、②委任による代理人にかかる申請書情報及び委任状情報以外の添付書面情報については、それに加えて法務大臣の指定する電子証明書も使用できることとなった。

 

使用できる電子証明書は法務省のホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji60.html#04)で確認できます。

 

(3)電子署名サービスによる電子署名がされた添付書面情報について

 いわゆる認印で足りる添付書面に相当する情報については、電子署名サービスによって添付書面情報の作成者が書面の作成に関与していることを確認できれば、当該書面情報の作成者が電子署名を行ったと判断して差し支えないとされたもの考えられる。

 役員等の本人確認証明書及び定款については、原本と相違ない旨の記載及び記名を行ったものをPDFデータ化し、電子署名サービスにより本人が関与していることを確認することができれば、添付書面情報として添付することができる。

 

③オンラインによる印鑑の提出等及び電子証明書による証明の請求についての改正

(1)オンライン印鑑提出等 

 オンラインによる登記の申請と同時にする場合に限り、オンラインによって印鑑の提出(改印)又は廃止の届出ができることとなった。

 具体的な方法は法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00072.html)で確認できます。

(2)電子証明書オンライン請求

 電子証明書オンライン請求は被証明者が印鑑を登記所に提出していない場合でも可能である。なお、書面により請求をするには従来どおり事前に印鑑の提出が必要。 

 具体的な方法は、法務省ホームページ(http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00086.html)記載の内容に従って、管轄登記所に送信して行う。

 

④押印規定の見直しについての改正 

・登記簿の附属書類の閲覧の申請書 ー 押印不要

・事業を廃止していない旨の届出 ー 押印不要

・再使用証明申出書 ー 押印不要

・定款、取締役会議事録(取締役の一致があったことを証する書面) ー 押印必要

・不正登記防止申出書及び取下書 ー 押印必要

・登記された事項につき無効の原因があったことを証する書面 ー 押印必要

・就任承諾書又は辞任を証する書面(商登規則61条4項又は8項に該当する) ー 押印必要

・就任承諾書又は辞任を証する書面(商登規則61条4項又は8項に該当しない) ー 押印不要

・株主リスト ー 押印不要

・資本金の額の計上に関する証明書 ー 押印不要

・添付書面の還付を請求する際に作成する謄本 ー 押印不要(原本と相違ない旨及び記名は必要)

・役員等の本人確認証明書 ー 押印不要(原本と相違ない旨及び記名は必要)

・その他、法令上押印又は印鑑証明書の添付を要しない書面 ー 押印不要

・訂正印 ー 訂正等をする書面の押印につき法令上の根拠がないものは押印不要

・申請書への契印 ー 押印必要

・その他の書面への契印 ー 当該書面の押印につき法令上の根拠がないものは押印不要

 

 なお、押印規定の見直しにより押印不要となった書類であっても、電磁的記録によって作成する場合にはその作成者等の電子署名を講じ、電子証明書を送信する必要がある。

 

⑤定款認証及び設立登記の同時申請の運用が開始

 株式会社の設立登記の申請のうち、定款認証の嘱託及び設立登記の申請がオンラインで同時にされているものを対象とし、公証役場から認証された定款が法務局へ送信されたことをもって、登記が完了する。

 定款以外の添付書面は書面によって提出することもできるが、その場合は、24時間以内処理の対象とならない。24時間処理の対象となるのは、設立時役員等が5人以内であり、添付書面情報がすべて電磁的記録で作成され、収入印紙でなく電子納付が利用されている場合である。

 同時申請は、登記・供託オンライン申請システム及び法人設立ワンストップサービスから行うことができる。

申請された日の当日中に定款が認証されなかった場合には、設立登記の申請は却下される。

・設立登記の申請日の翌日以降に出資の履行を行い、当該払込みがあったことを証する書面が添付された場合は、設立登記の申請は却下される。

 

新型コロナ休業支援金・給付金

新型コロナウイルス休業支援金・給付金

 

事業主の指示により休業したものの、休業中の賃金(休業手当)を受けることができなかった中小企業の労働者に対して、休業前賃金の8割(日額上限11,000円)が支給されます。

 

申請の締め切りにご注意ください。

 

詳細は以下のURLから。

【厚生労働省 ウェブページ】

https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html



遺言書の保管手続きが開始しました


自筆証書遺言は、公正証書遺言に比べて手軽に作成できる反面、安全性の点で欠点があります。


そこで、令和2年7月10日から、法務局で自筆証書遺言を保管する制度が始まりました。


保管制度のメリット

・遺言の紛失や改ざんの防止

・家庭裁判所での検認手続きが不要

・相続人全員が遺言内容証明書の取得可能

・相続人への通知制度


詳しくは法務局のホームページをご覧ください。 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji03_00051.html


遺言書の作成・保管申請書の作成についてのご相談は、メールまたはお電話でお問い合わせ下さい。


休眠会社・法人の職権解散について

令和2年10月15日(木)の時点で

①最後の登記から12年を経過している会社

②最後の登記から5年を経過している一般社団法人・一般財団法人


上記の会社等は法務局の職権で解散登記がなされます。


事業を継続している場合は、令和2年12月15日までに届出または登記が必要です。

また、廃業する場合は、別途清算手続及び清算結了登記を行う必要があります。

法務局からの 「長期間相続登記等がされていないことの通知」

平成30年から、全国の法務局において、30年以上にわたって相続登記が行われていない土地について、その土地の所有者の法定相続人を調査し、法定相続人情報(法定相続人の一覧図)を作成し、土地の所在地を管轄する法務局へ備え置く作業が進められています。この作業が完了した土地については、その土地の登記簿に長期間相続登記がされていない旨の登記がなされます。

 

また、この調査で判明した法定相続人の内の任意の1名に対して、相続登記の促進を目的として法務局から通知書が送付されます。

 

 

【 通知が届いた場合の対応 】

法務局から通知書に記載された土地の相続登記を申請する場合、下記の書類の添付が不要となる特例が設けられています。

 

① 被相続人の出生から死亡までの戸籍・除籍・改製原戸籍等

② 相続人の現在の戸籍

③ 物件を取得する相続人の住民票

 

※戸籍謄本等は、相続開始から時間が経つにつれて多数の戸籍謄本等を取得する必要があり、通常は手間と費用がかかります。

長期相続登記未了土地については、この作業が既に終了していますので、改めて戸籍調査をする必要がありません。

ぜひ、この機会に、相続登記を行ってください。

 

 

相続登記をしないでそのまま放置した場合…

①相続人が更に増えるなど権利関係がより複雑となります。

②お子さんやお孫さんの世代に負担を先送りすることになります。

③法定相続人の調査をさらに行うことが必要になります。

④法定相続人調査のため時間と費用がかかります。

 

相続登記のご相談は当事務所にどうぞ。

 

相続に関する法律が約40年ぶりに大きく変わります



平成30年7月に民法等が改正され、相続に関するルールが大きく変わりました。



※2019年1月13日 施行

自筆証書遺言の方式緩和

 財産目録については、手書きで作成する必要がなくなります。


※2019年7月1日 施行

婚姻期間が20年以上の夫婦間における居住用不動産の増与等に関する優遇措置

 これまでは、生前贈与等は原則として「遺産の先渡し」として扱われていましたが、優遇措置が設けられました。


預貯金の払戻し制度の創設

 各相続人は、遺産分割が終わる前でも、一定の範囲で預貯金の払戻しを受けることができるようになります。


遺留分制度の見直し

 遺留分減殺請求権の行使により、共有状態になるのではなく、金銭請求ができるようになります。

 また、裁判所に対して支払期限の猶予を求めることが」できます。


特別の寄与の制度の創設

 相続人ではない親族でも、介護等の貢献に応じて金銭請求が認められるようになります。


※2020年4月1日 施行

配偶者居住権の新設

 配偶者が自宅での居住を継続しながら、その他の相続財産を取得することが可能になります。


※2020年7月10日 施行

法務局における自筆証書遺言の保管制度の創設

 法務局に自筆証書遺言の保管を申請することができるようになります。



詳しい内容は、法務省ホームページで解説しています。



賃貸住宅に入居する際にしておくこと

 

住所移転のために引越しをする際、賃貸人と賃借人との間で、原状回復に関してトラブルになってしまったという事例がとても多いです。

 

経年変化および通常の使用によって生じた損耗は、原則として賃借人に原状回復をする義務はありません。

また、契約書の特約によって上記の負担を賃借人に負わせることとなっているケースもありますが、そのような特約があるからといって無条件に認められるわけではなく、賃借人にとって一方的に不利益となる内容の場合には消費者契約法によって無効となる場合もあります。

 

原状回復トラブルを防止するために、賃借人がすべきこととして、入居時に建物内の写真を撮影しておくことが重要です。

入居時にすでに生じている傷や劣化がある場合、当然ですが、それは賃借人が負担するものではありません。

しかし、訴訟手続きにおいて、それが「はじめから付いていた傷だ」ということを賃借人が証明できなければ、負担させられてしまうことがあります。

 

そのような立証責任を賃借人に負わせるというのは、賃借人からしてみれば理不尽に感じることです。

しかし、白黒つけるという裁判の性質上、裁判所から立証を求められることがあります。

 

入居の際には、すでに付いている傷や劣化について写真や動画などの記録を取るようにしましょう。

残念ながら賃貸人の肩を持つ不動産仲介業者もいるため、自分で撮影して保管をすることが大切です。

 

 

法律資格者による詐欺の二次被害が増えています!

 弁護士や司法書士、行政書士にワンクリック詐欺の解決依頼をして、お金を振り込んだところ、その後の連絡がなく、二次被害を受けたというご相談が増加しています。

 

 「ワンクリック詐欺」とは、アダルトや出会い系サイト、送られて来た電子メールに記載されているURLなどを1回クリックすると、「ご入会ありがとうございました。」等の文字やウェブページが表示され、一方的に契したことにされて多額の料金の支払を求められることをいいます。

 このような場合、そもそも契約は成立していないため料金を支払う必要はありません。また、パソコンのIPアドレス等から住所を特定されることはないため、詐欺業者から取り立てを受ける心配はなく、無視をするのが一番の対策です。

 また、パソコンの画面上に表示された請求警告等は、タスクマネージャーなどから強制的に閉じることで消すことができます。

 

 更に問題なのは、不安にかられた被害者からお金を騙し取る法律資格者が存在することです。

 そのような専門家は、実際に資格を持っているものの、詐欺業者に名義を貸している「提携法律家」である可能性があります。

 被害者からの相談によると、インターネットで検索をして上位に表示された専門家に依頼をしたところ、被害に遭ったというケースが多いようです。

 

 法律資格者が詐欺を行うなどあってはならないことですが、実際に被害が増加しているため、ご注意ください。

 

 

「法定相続情報証明制度」が開始します。

 これまで相続による不動産の登記を申請する際は、原則、申請する法務局ごとに、被相続人(故人)の出生から死亡までの戸籍謄本など相続を証明する書類一式を提出する必要がありました。

 今後は、法定相続情報証明1通を提出することにより申請が可能となります。

 特に、複数の法務局管轄内に不動産をお持ちの方が相続手続をする場合は、法定相続情報証明を複数取得すれば、重複した戸籍謄本を入手しなくても登記の申請ができるようになります。 また、相続登記以外の次のような場合にも法定相続情報証明を利用すれば、スムーズに手続を行える可能性があります。

預貯金の相続手続 ②保険金の請求、保険の名義変更手続 ③有価証券の名義変更手続

 

【日本司法書士会連合会 - 新しい相続手続「法定相続情報証明制度」とは】

http://www.shiho-shoshi.or.jp/html/hoteisozoku/index.html

 

 

クレジット取引被害にご注意を

近年、クレジット取引は消費者の見えない部分で複雑化しており、取引被害に遭う人が増加しています。

 

それに対応して、法律の改正も継続的に行われていますが、対応しきれていないのが現状です。

 

クレジット取引被害の回復を難しくしている原因は、ずさんな決済代行業者の関与や国際ブランド(VISAやMasterCardなど)の普及による越境問題化があります。

その結果、思いもよらず悪質な販売業者との間でクレジット取引をしてしまい、被害回復をしようにも取引相手の情報が分からない、という事態が発生しています。

 

そのような場合、クレジット会社も販売会社を把握していないことが多く、被害の回復が困難となります。

 

平成28年の割賦販売法改正により、ある程度のクレジット取引環境の改善は見込まれますが、十分とは言えません。

 

それでは、泣き寝入りするしかないのか。販売業者の詳細が不明な状況においては、現状では、国際ブランドカード会社に対して「チャージバック・ルール」の利用を申し立てるという方法があります。

 

「チャージバック・ルール」とは、国際ブランド規約によって定められた自主的な返金手続きであり、その内容は公開されていませんが、条件を満たす場合には既払金の返還を受けることができます。

ただし、利用申し立てができるのは国際ブランド加入者であるクレジット会社であり、消費者からの申し立てはできないことになっています。

そのため、消費者は、クレジット会社に対してチャージバック・ルール利用申し立てをするよう働きかける必要があります。

 

消費者自らクレジット会社と交渉するのは難しい場合もあります。その場合には、消費者問題に詳しい認定司法書士や弁護士にご相談ください。

 

 

消費者問題公開セミナー開催のお知らせ

1.日  時: 平成29年2月19日(日)
        13時30分~16時30分

        (開場・受付開始は13時00分)

2.会  場: 日司連ホール

        (東京都新宿区本塩町9-3司法書士会館地下1階)

3.テ ー マ: 「インターネットの光と影~ネット社会を生き抜くために~」

4.内  容:(1)報告:『最近の相談事例と東京都の取り組み』 
       【講師】東京都消費生活総合センター
           相談課長 浅倉 美文 氏

       (2)講義:『ネット社会で必要な法律知識』
       【講師】東京司法書士会消費者問題対策委員会委員

       (3)講演:『インターネットに関連する諸課題への対応』 
       【講師】一般社団法人セーファーインターネット協会
           専務理事 吉田 奨 氏

 

 

予約不要で一般の方も参加できます。参加費用は無料です。

興味のある方は、ぜひご参加ください!

 

 

貸金業法潜脱問題

平成28年9月9日に開催された会員向け研修、東京司法書士会消費者問題対策委員会「クレサラ最前線リレー報告会」にて、僭越ながら講師を務めさせていただきました。

 

私のテーマは「貸金業法潜脱問題」ということで、銀行の消費者金融事業拡大による市場の変化と、それにより、改正貸金業法が潜脱される結果となっていること。

法改正によって減少した多重債務問題が再度悪化する危険性と金融行政による規制の必要性を唱えさせていただきました。

 

講義の前半部分は、同年3月に開催された日本司法書士会連合会主催の研修から多く引用させていただき、貸金業法潜脱の現状について解説をしました。

後半部分は、法令適用事前確認手続における金融庁の回答及び金融庁「主要行向けの監督指針」を基に、私なりの意見を述べさせていただきました。

 

研修会で使用したレジュメを公表しますので、参考にしていただければ幸いです。

 

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「株主リスト」が登記の添付書面となります

平成28年10月1日以降の株式会社・投資法人・特定目的会社の登記の申請に当たっては、添付書面として、「株主リスト」が必要になる場合があります。

※施行日(平成28年10月1日)より前に株主総会が行われた場合でも、施行日以降に登記の申請をするときは、株主リストの添付が必要です。

 

株主リストの添付が必要となる場合

登記すべき事項につき、株主総会の決議(種類株主総会)等を要する場合。

 

株主リストの内容

例えば、登記すべき事項につき株主総会の決議を要する場合

→□議決権数上位10名の株主

 □議決権数割合が3分の2に達するまでの株主

 いずれか少ない方の株主について、その氏名等を記載することが必要です。

 

 

「ブラックバイト110番」開催のお知らせ

東京司法書士会主催「ブラックバイト110番」を下記の日程で開催します。

平成28年12月3日 10:00~16:00

相談窓口電話番号:0120-535-771

詳細は東京司法書士会ホームページにて

http://www.tokyokai.jp/news/2016/news1611101547.html

 

ブラック企業とは、広義の意味で「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」のことを言います。

日本では以前から、違法な長時間労働や残業代の不払い、退職の強要や不当解雇といった、労働者を人間として扱わない「ブラック企業」問題が深刻となっています。

 

労働基準法1条1項

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。」

 

労働基準法は、人間が人間らしく生きるために最低限保証されなければならない労働条件を定めたものです。

それを守らないブラック企業は、労働者を、そして「日本を食いつぶす妖怪(文春新書、今野晴貴著)」です。

 

ブラック企業は、詐欺や強迫その他あらゆる手段を用いて労働基準法の潜脱を図り、労働者の権利を侵害しています。しかし、その多くは違法なものであり、法的手続きによって権利の実現が可能です。

また、労働基準法には刑罰規定もあるため、ブラック企業の行為が犯罪となる場合もあります。

 

現在の日本社会において、ブラック企業は最大の悪と言えます。

この問題を解決するためには、法律家や行政機関、労働者が団結して取り組む必要があります。

 

 

東京司法書士会「少額裁判報酬助成制度」のお知らせ

平成28年1月5日から 、

司法書士の簡易裁判所における代理権の活用を推進することを目的とする「東京司法書士会少額裁判報酬助成制度」の運用が開始しました。

 

利用要件に該当して審査に通った場合、

司法書士への報酬の一部を東京司法書士会が負担してくれます。

 

①訴額が50万円以下で、司法書士が簡易裁判所における訴訟又は調停の代理人になること。

②依頼者から着手金として金2万円の支払いを受けて、本助成制度の利用と個人情報提供に承諾していること。

などが利用できる要件になります。

 

費用の負担を少なく訴訟を提起して、権利の実現や紛争の解決ができる機会です。

同一の司法書士が本制度を利用できるのは1年度中に2回までとなるため、希望する方はお早めにご相談ください。

 

その他詳細はお問い合わせください。

 

 

 

不倫による慰謝料請求

婚姻関係にある者(A)が不倫をして不貞行為(配偶者ではない相手と肉体関係を持つこと)に及んだ場合、配偶者(B)に対して不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)を負います。

 

また、不貞行為の相手方(C)が婚姻関係にある場合には、Aは相手方の配偶者(D)に対しても損害賠償責任を負うことがあります。

 

不貞行為の相手方Cが、Aが婚姻関係にあることを知りながら不貞行為に及んでいた場合には、BはCに対しても損害賠償請求をできることがあります。

 

ただし、請求が認められるためには不貞行為の証拠(2人がホテルに入る瞬間などの写真など)が必要です。

 

そのため、証拠隠滅を招く軽率な行動(不倫を問いただすなど)はせず、言い逃れのできない決定的な証拠を掴むことが肝心です。

 

 

 

不動産登記等の添付書類が一部変わりました。

不動産登記令等の一部を改正する政令(平成27年政令第262号)及び不動産登記規則等の一部を改正する省令(平成27年法務省令第43号)が公布され、平成27年11月2日以降、会社法人等番号を有する法人が申請人又は代理人である場合の不動産登記等の申請における添付情報のうち、「当該法人の代表者の資格を証する情報」が「当該法人の会社法人番号等」に変更されました。

 

 

 

自筆証書遺言のチェックをいたします!

遺言を作成することは、自身の生涯を振り返り、締めくくるとともに、残りの人生を有意義に過ごすために心と財産の整理をすることです。また、残された家族への思いやりでもあります。


遺言にはおおまかに言って、①自筆証書遺言と②公正証書遺言の2つがあります。

自筆証書遺言は、誰にも内緒で自宅で1人で作成することができるのに対し、公正証書遺言は公証役場へ出向く必要があり費用がかかりますが、失敗することがなく安心というメリットがあります。


「自筆証書遺言を作成したが、ちゃんと作れたか不安だ。」という方のために、当事務所では、自筆証書遺言のチェックをいたします!


・料金 1通 1万円から

 髙田法務司法書士事務所

 042-310-9750





休眠会社・休眠一般法人のみなし解散(平成27年12月14日まで)

平成27年10月14日付けで、法務大臣による官報広告が行われるとともに、休眠会社・休眠一般法人に対して登記所から通知が送られました。

その内容は2か月以内に「まだ事業を廃止していない」旨の届出又は登記の申請をしない限り、解散したものとみなされ、登記官が職権で解散の登記をする』というものです。


対象となる会社は、この機会に登記をしましょう。

期間内に届出又は登記をしない場合、会社が解散することになりますので、ご注意ください。


 

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『判決による登記』-登記義務者(売主などの現登記名義人)が協力してくれない場合の登記手続

不動産登記手続きは、原則として、登記権利者(買主等)と登記義務者(売主等)が共同して申請する必要があります

しかし、何らかの理由によって、一方の協力が得られない場合もあります。

その場合にはどうすればよいのか判決による登記』手続きについてご説明します。


結論から言いますと、

①登記手続きを拒むなどして協力を得られない相手に対して、登記手続請求訴訟を起こし、確定判決等を取ります

②その確定判決等を添付書類として単独で登記を申請します。


注意点として、単独登記の添付書類として認められる確定判決等は、一定の要件を充たしている必要があります


具体的には、以下の通りです。

登記義務者に対して、判決主文中で、一定内容の登記手続を命ずる判決であること。

給付判決であること。

確定判決の正本であること。


また、相手方の住所が変わっているような場合には、前提として登記名義人住所変更の登記が必要となります。

その場合は、債権者代位権に基づいて、相手方に代わって住所変更の代位登記をすることになります。


住所変更に関して当職が扱った特殊な事例として、相手方が現在滞在している場所が住民票上の住所と異なるケースがあります。

今居る場所を現住所と捉えると、前提としての住所変更登記が必要になりますが、それには住民票などの公的書類で現住所を証明しなければなりません。

しかし、住民票には古い住所が記載されているため、前提としての住所変更登記ができず、結論として、せっかく判決を貰っても所有権移転登記をすることができないということになります。


このような場合、今居る場所を現住所ではなく「居所」と考えて、訴状には住民票上の住所(及び登記記録上の住所)と併記して作成します。


そのうえで、管轄の法務局と相談をして、登記手続きを行うことになります。


登記手続請求訴訟は登記手続きの前提として行うものですので、訴状の作成は登記及び裁判手続の専門家である認定司法書士に相談するのが確実です。




相続に伴う不動産の名義変更手続きについて

 法務局に備え付けられている登記記録に不動産の所有者として記載されている者が亡くなり、相続によって所有者が変更した場合には、相続を原因とする所有権移転登記手続きが必要となります。

 

 登記手続きにh必要な書類は、遺産分割協議・相続放棄の有無などによって変わってきますが、死亡した方の生まれてから亡くなるまでに作成・改製された全ての戸籍(除籍・改製原戸籍)や最後の住所地が記載されている住民票の除票が必要になります。本籍を変更したことがある場合、新しい本籍地で古い戸籍を取得することができないため、過去の本籍地に申請をすることになります。

 

 これら登記手続きに必要な書類を集めるのは非常に煩雑ですが、司法書士が相続人に変わって登記手続きに必要な戸籍等を取得することができます。遺産分割協議書の作成、遺言書の検認手続き・相続放棄手続きの申立書類の作成も行っております。


 相続手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。




 

本人に代わって相手方と和解交渉をいたします

 法務大臣の認定を受けた司法書士は、簡易裁判所において取り扱うことができる民事事件(訴訟の目的となる物の価額が140万円を超えない請求事件)等について,代理業務を行うことができます(簡裁訴訟代理等関係業務)。 

 

 それだけではなく、代理人として裁判外で和解交渉をすることも可能です。

 

・裁判を起こす前に相手方と話し合いをしたいが、当事者だけでは感情的になって話し合いができない。

・お互いの言い分が食い違っていて平行線となっている。客観的かつ法律的な判断を仰ぎたい。

・話し合いをしようにも、そもそも相手方の住所がわからない。

・裁判をする前に、証拠を集めたい。

・何が正しくて何が間違っているのかわからない。

 

 などなど、お悩みの方は当事務所へご相談ください!

 

 

 

東京経済大学で講演をさせていただきました

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内容証明郵便を活用しよう

訴訟を起こす前に、通常、内容証明郵便を相手方に送ります。

 

内容証明郵便には 「①証拠力を得る」 「②心理的圧迫を加える」 という効果があります。

 

例えば、クーリングオフをする場合、相手方に意思表示をすることによって契約が解除されますが、電話や普通郵便で通知をしたとしても証拠が残りません。「そんな通知は受け取っていない。クーリングオフの期間はもう過ぎたから金を払え」と言い逃れをされてしまう可能性があります。内容証明郵便は郵便局が通知の内容を証明してくれるため、その心配がありません。さらに、特定記録を併せて使えば、相手方に通知を出したという証明になります。

 

また、内容証明郵便には、相手方に宣戦布告をし、心理的圧迫を加えるという効果があります。

訴訟や内容証明に縁のない通常の人にとっては、代理人司法書士名義の内容証明郵便で請求をされるとそれだけで精神的なプレッシャーを感じ、不安になります。そのため、これまで知らんぷりを決め込んでいた相手から返事が来たり、お金を返してくれるといったことがあります。

 

当職が契約の解除や貸金請求、損害賠償請求などの依頼を受けた場合、まずは代理人として内容証明郵便を作成して通知をします。

この通知には、一定の期間内に支払がなければやむを得ず訴訟を起こすことになる旨を記載するため、相手方から何らかの反応があります。それでも、相手方が応じない場合には、実際に訴訟を起こすことになります。

 

訴訟を起こす前に内容証明郵便を送って相手方の反応をみたいという場合に、当職が代理人として内容証明郵便で相手方に請求いたします。その後、事情に応じて訴訟を起こすかどうかを判断することも可能です。

 

まずは内容証明郵便をとお考えの方は、当職までご相談ください。

 

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誤振込の返還に応じてもらえない!?

「誤って間違った口座に振り込みをしてしまった」

そんなことはそうそうあることではありませんが、ないとは言えません。

振り込んでしまったお金は返してもらえるのでしょうか?

答えは、勿論返してもらえます。

 

民法第703条

法律上の原因なく他人の財産又は労務によって利益を受け、そのために他人に損失を及ぼした者(以下この章において「受益者」という。)は、その利益の存する限度において、これを返還する義務を負う。

 

このような、法律上の原因がないにもかかわらず本来利益が帰属すべき者の損失と対応する形で利益を受けることを、「不当利得」といいます。

そして、損失を受けた人は利得を得た者に対し、民法第703条に基づき不当利得返還請求権を有します。

 

それでは、銀行に組戻しの続きを依頼したが、相手方に拒否されてしまった場合、どうすればいいのでしょうか。

先日、実際にそのような相談がありました。

誤振込みをしてしまった場合、判明している受取人の情報といえば口座番号とカタカナの口座名義人名だけです。 

銀行に問い合わせても個人情報のため教えてくれる見込みはほとんどありません。

通常、訴訟を起こすためには住所と氏名で相手方を特定してする必要があります。しかし、それではこのような場合、受取人と話し合うことはおろか裁判をすることもできないということになってしまいます。それはあまりに理不尽な結果です。

 

このような場合でも、訴訟手続きを利用してお金の返還を受けることが可能です。

詳しくは当事務所までご依頼ください。

 

ちなみに、受取人が口座からお金を引き出した場合、詐欺罪にあたります。

 

 

 

権利証に代わる「登記識別情報」

 従来は、新たに登記名義人となった者に対して登記済権利証が発行されていましたが、現在では発行されません。

 

 現在では、登記済権利証に代わるものとして「登記識別情報」が交付されます。

 この登記識別情報は、アラビア数字その他の符号の組合せからなる12桁の符号(暗号のようなもの)で、登記完了後、登記識別情報が記載された書面が登記名義人となる申請人に交付されます(司法書士へ依頼した場合、司法書士が代理人として受領し、登記名義人へ渡します)。そして、次回の登記の申請の際に本人確認方法として登記所に提出し、登記識別情報を提供した者が不動産の登記名義人として扱われることになります。

 

 登記識別情報は非常に重要な情報のため、第三者に盗み見られないように厳重に管理する必要があります。

 登記識別情報通知書には、目隠しシールが貼られており、登記識別情報が見えないようになっています。この目隠しシールは一度剥がすと再度貼付けすることができない仕組みです。

 

 当事務所では、登記所から登記識別情報を受領したあと専用の封筒に入れて依頼者へお渡ししています。第三者から盗み見られることを防ぐため、そのままの状態で金庫等に厳重に保管することをお勧めします。

 

 

 

婚外子の相続分を2分の1とする規定は違憲と判断されました

 平成25年9月4日に、最高裁判所大法廷において、民法900条4号ただし書の嫡出でない子(婚外子)の相続分を嫡出子の相続分の2分の1とする規定が、日本国憲法14条1項(法の下の平等)に違反するという決定がされました

 この決定がされたことによって、平成13年7月1日以降に発生した相続について、婚外子の法定相続分が他の相続人である子の相続分と同率として取り扱われるようになると考えられます。

 ただ、すでに裁判や当事者間で合意がなされているものについては影響はありませんので、注意が必要です。

 

 最高裁判所が法令の規定を違憲と判断したのは今回で9件目になります。

 今回の決定は、平成7年に最高裁大法廷でされた決定を覆しての違憲判断となります。その背景には、国民の持つ「家族像」が時代とともに変化しているということがあります。

 また、生まれてきた子には選択の余地がないということ、子を個人として尊重するべきであるという考え方が国内外で確立したことが理由のひとつとなっています。

 

 

 リンク:最高裁判所ホームページ

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=83520&hanreiKbn=02

 

 

敷金は返ってくるお金です

 アパートやマンションなどを借りるときに、敷金・権利金・礼金・保証金・仲介手数料などといった名目で家主や不動産仲介業者へお金を払いますが、このうち敷金は、契約が終了して物件を明け渡したあと、原則として全額戻ってくるお金です。

 

 そもそも敷金とは、借主の不注意等によって物件にひどい傷や汚れが生じてしまった場合に、それらの損耗を修繕するために使われるお金です。普通に使っていて生じてしまう傷や汚れ(通常損耗)については、借主が修繕費用を負担する必要はなく、敷金から控除されることは原則としてありません。

 賃貸借契約書に、通常損耗の修繕・交換費用について借主が負担するとの記載がされることがありますが、このような原状回復特約は消費者契約法10条や公序良俗違反となり原則として認められません。ただし、オフィスビルの賃貸借の場合には居住用の賃貸借とは異なるため、原状回復特約が有効な場合もあります。

 

 なお、訴訟となった場合には、家主側が、通常損耗を超える毀損があること又は有効な原状回復特約があることを証明する必要があります。

 

 しばしば 「契約書に書いてあるから」という理由で敷金を返してもらえないという話を聞きますが、通常損耗の修繕はたとえ契約書に書いてあろうとも原則として家主が負担するものですので、注意しましょう。

 

 

 

事務所のご紹介

 小さい事務所ですが、京王線東府中駅から徒歩2分の場所にあります。

 府中駅の傍には大國魂神社の参道でもある国指定天然記念物の馬場大門ケヤキ並木がありますが、東府中駅の北側にも並木道があります。事務所はその通り沿いです。

 並木に沿ってそのまま北へ進むと、都立府中の森公園があります。事務所周辺には緑が溢れていて、気持ちのいい場所です。

 

 

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事務所を移転しました!

 

 

 2013年9月1日に東京都府中市へ当事務所を移転しました。

 府中市はわたしが大学時代に住んでいたところで、司法書士の資格を取得するために勉強をしていたのもこの場所です。

 当時から司法書士になったら府中市に事務所を構えたいとひそかに考えていたのですが、ゆえあって地元浜松市にて研修を受けたのち事務所を開くこととなりました。

 先日ある機会を得て府中市へ立ち寄ったのですが、府中市ののびのびとした空気にあらためて触れ、事務所を移転することに決めました。

 

 

 様々な価値観・考え方を持った人々が集まり、自由に暮らしていくことのできる器の大きさが東京の素晴らしいところです。

 しかし、様々な人が集まるからこそ、時に揉め事が起こり争いが避けられないこともあります。

 互いに権利を尊重し合って安心して暮らしていくことのできる社会にするために、この街の一員としてわたしにもできることがあると考えています。

 

 

 

遺言がない場合、どのように遺産が承継されるのか

 人が亡くなった場合、その人の遺産は、配偶者や子といった相続人が承継することになります。

 相続人が複数いる場合は、被相続人(亡くなった人)は、「不動産は配偶者、貯金は子どもで平等に分ける」などというように、遺産を承継する割合を、生前に「遺言」を作成することによって指定することができます。

 しかし、「遺言」がない場合には、法律で定められた割合で遺産が承継されることになります。

 ここでは、遺言が作成されていない場合、どのような割合で遺産が承継されることになるのかをお話します。

 

1.子と配偶者が相続人である場合

  被相続人に子と配偶者がいる場合は、配偶者が2分の1、子が2分の1の割合で遺産を承継することになります。

  子が数人いるときは、その2分の1を更に均等に分けることになります。ただし、現行法上、非嫡出子の相続分は嫡出子の2分の1となっています。

 

2.直系尊属と配偶者が相続人の場合

  被相続人に子がいない場合、直系尊属(親、祖父母など)が相続人となります。

親等の異なる直系尊属が数人いるときは、親等の近い者が相続人となります。たとえば、親と祖父母がいる場合、親が相続人となり、祖父母は相続人になりません。

  この場合、配偶者が3分の2、直系尊属が3分の1の割合で遺産を承継することになります。

  親等の同じ直系尊属が数人いるときは、3分の1を均等に分けることになります。被相続人が養子縁組をしている場合は、実父母と養父母で平等に分けます。

 

3.兄弟姉妹と配偶者が相続人である場合

  被相続人に子がおらず、直系尊属も既に亡くなっているような場合には、兄弟姉妹が相続人となります。

  この場合、配偶者が4分の3、兄弟姉妹が4分の1の割合で遺産を承継することになります。

  兄弟姉妹が数人いるときは、その4分の1を均等に分けます。ただし、半血の兄弟姉妹の相続分は全血の兄弟姉妹の2分の1です。

 

4.代襲相続人

  相続人(子及び兄弟姉妹に限る)が相続開始時に死亡している場合、その者の直系卑属(子や孫)が代襲相続人として遺産を承継することになります。

 

 

  以上のように、「遺言」がない場合、法律に定められた割合で遺産が承継されることになります。 

   ただ、相続人全員の同意を得て遺産分割協議をすれば、これと異なる内容で遺産を分配することは可能です。

 

 

  

株式会社の設立手続

  平成18年の会社法施行により、最低資本金制度が撤廃され、取締役1人でも気軽に株式会社が設立できるようになりました。また、定款を書面ではなく電子情報(データ)で作成し、電子定款の認証をすれば、収入印紙代4万円が不要となります。

 

  株式会社設立手続きの大まかな流れは、次のようになります。

  1.商号(会社名)・本店(住所)・目的(事業内容)等の基本的事項の決定

  2.代表者印(会社印)の作成

  3.商号調査※、印鑑証明書等必要書類の取得

  4.定款その他必要書類の作成※

  5.定款の認証※

  6.資本金の払い込み

  7.設立登記申請※

  ※印については、司法書士が行います。

 

  設立にかかる費用は、司法書士への報酬も含めて30万円程度です。

 

  また、事業内容によっては、営業をするために官公署の許認可が必要になるため、会社設立後に許認可申請を行う必要があります。そのため、できれば設立準備段階で許認可申請を依頼する行政書士と打ち合わせをしながら進めることとなります。

 

 

 

重要な契約は公正証書に!

「公正証書」と聞くと、どのようなイメージがあるでしょうか?

聞き慣れた言葉ではないですが、聞いたことはある言葉だと思います。

堅苦しい・難しいというイメージが思い浮かぶ人もいるかもしれませんが、実はちょっとした手間をかけるだけで、取引を安全・安心にすることのできる、便利なものです。費用もそんなにかかりません。

 

公正証書は遺言を作成する際によく利用されますが、その他にも、不動産の売買契約やお金を貸す(金銭消費貸借契約)などの重要な契約をする際にも利用できます。

 

公正証書の一番の特徴は、強制執行をする際に裁判手続を省略できる、というものです。

お金を貸したけれど返して貰えない、不動産を分割払いで売却したけど代金を払って貰えない、というような場合、通常は裁判を起こして判決を取り、相手の財産に強制執行をするという流れになります。

しかし、契約をする際に「強制執行認諾文言」を付した公正性証書を作成しておけば、このような場合に裁判手続を省略することができます。

 

また、契約内容を公正証書という形で明確にして残しておけば、後日契約内容について争いになるのを予防できるという効果もあります。

 

公正証書は公証役場で公証人が作成します。

作成する際には、事前に公証役場へ電話して打ち合わせをしましょう。

 

浜松市の公証役場は、浜松中区役所近く

静岡県浜松市中区元城町219−21

TEL:053-452-0718

日本公証人連合会ホームページ:

http://www.koshonin.gr.jp/index2.html

 

 

 

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8月3日は「司法書士の日」無料相談を行います!

 日本司法書士会連合会は、平成22年から8月3日を「司法書士の日」と定めています。
 この「司法書士の日」を記念し、全国の司法書士会では、高校生のための「一日司法書士」体験や司法書士による無料相談等を実施します。


<記念日制定の趣旨>
 明治5年(1872年)8月3日、太政官無号達で司法職務定制が定められ、「証書人・代書人・代言人」の3つの職能が誕生しました。証書人は現在の公証人、代書人は現在の司法書士、代言人は現在の弁護士にあたります。
 司法書士の前身である代書人が誕生したこの日を記念日として制定することにより、司法書士一人ひとりがその社会的使命と職能の重要性を再認識し、将来に向かって市民の方々からの期待に応え続けていくことを確認すると共に、市民の方々に対し、司法書士制度の社会的意義を周知する機会とします。

 

 

無料相談をご希望の方は、8月2日までに電話又はメールにてお問い合わせください。

高田法務司法書士事務所

TEL:053-450-7730

FAX:053-450-7731

Mail:takada_shiho_shoshi@yahoo.co.jp

 

 

裁判外の交渉について

争い事が起こったとき、最終的には裁判で解決することになりますが、通常は訴訟を起こす前に当事者間で交渉をします。

 

その場合に問題となるのが、感情的になってまともに話し合いができなかったり、一方的に自分の主張ばかりして聞く耳を持たないため交渉が進まない場合や、そもそも相手方が交渉に応じなかったり、交渉しようにも相手方の居場所がわからない場合などです。

 

そのような場合、当事者間での交渉を続けるのが難しくなります。
こうなると、一方が泣き寝入りをするか、第三者を間に入れて交渉をするかになりますが、第三者を間に入れる場合には注意が必要です。

 

裁判外で交渉を行う場合、「裁判になった場合どのような結果になるか」という視点が不可欠です。
なぜなら、争い事は最終的には全て裁判で決着をつけることになるからです。
裁判になった場合の結果が予想できれば、交渉を有利に進めることができます。また、不当に低い条件で和解をしてしまうこともありません。

 

報酬を受け取って相手方と交渉をすることができるのは、弁護士と認定司法書士のみで、それ以外の者が交渉をするのは違法となります。
このような制限がある理由は、上述のように、裁判外とはいえ交渉をするためには法的知識が不可欠だからです。

 

法的知識が十分でない者を間に入れてしまうと、不当に低い条件で和解をしてしまったり、交渉を有利に進めようとするあまり不当な手段に出て相手方の権利を侵害してしまい、逆に相手方から損害賠償請求をされてしまうなど、よけいに話がこじれてしまうことになります。
特に暴力団や悪質な業者に依頼をしてしまうと、後から高額な報酬を請求されることになります。

 

病気になったら素人に相談するのではなく医者に診てもらうのが当然のように、争い事の相談は弁護士か認定司法書士にするようにしてください

 

当事務所では初回の相談は無料で行っていますので、まずはお気軽にお電話ください。

 

 

請求相手の住所が不明な場合は?

ご相談を頂いたときに、請求の相手方の住所がわからない、ということが少なくありません。

 

当然ですが、相手方の住所がわからなければ請求はできませんし、裁判を起こすこともできません。

そのため、弁護士や司法書士が受任した場合、必要に応じて相手方の住民票や戸籍を取得し、請求先を特定することになります。

相手方の過去の住所がわかれば、そこから住民票等をたどって現住所を調べることが可能です。

 

また、住民票等をたどっても、住民票を移しておらず、現住所がわからないということもあります。

その場合には、裁判所に住民票上の住所に請求の相手方が住んでいないことを明らかにして、訴訟を起こすことができます。この場合、「公示送達」という方法で相手方に訴訟が起こされたことを公示します。具体的には裁判所の掲示板に掲示をすることになります。

 

以上のように、請求の相手方の現住所がわからず、もうすぐ消滅時効が完成してしまうというような場合には、住民票上の住所を相手方の住所として訴訟を起こすことが可能です。

判決を取れば時効期間が原則10年となるため、請求権が消滅してしまうのを防ぐことができます。

 

なお、住民票や戸籍の取得のみを目的とする依頼を受任することは、法律上固く禁止されており、司法書士はそのような依頼を受任することはできません。

また、取得した住民票等は厳重に保管をし、第三者へ見せることはありません。

 

 

損害賠償請求-自然災害による被害を受けた場合-

日本は、地震や台風など、自然災害による被害が多い国です。そのため、建物などの建築物は、一定の安全性能を備えるように建築基準法などの法律で定められています。

しかしながら、老朽化した建物など安全性を欠く建築物も多く、自然災害によって被害を受けたというニュースを耳にすることは少なくありません。

 

3.11のように予想のつかない桁外れの災害の場合は別ですが、建築物の安全性に問題がありそれが原因となって被害を受けた場合には、建築物の所有者などに損害賠償請求をすることが可能です。

当事務所にご相談いただいた中にも、平成23年台風第15号によって被害を受けた方が建物の所有者に損害賠償請求をし、裁判上で示談が成立した事案があります。

 

自然災害だからといって諦めなければならないわけではなく、建物などの工作物が本来有するべき安全性を備えていなかったため、それが原因となって被害を受けたような場合には、民法717条に基づく損害賠償請求をすることが可能です

 

被害に会われた場合、事故当時の建物など損壊した工作物の様子を写真に撮るなどして、安全性に欠陥があったこと証明できるよう備えておくことが大切です。

 

   

憲法とは何か

判例を解説する前に、そもそも憲法とは何なのかという点についてお話します。

 

 

もともと憲法の「憲」という字には、「一番もとになる法」という意味があります。

そこから分かる通り、憲法とは簡単に言って「国家の基本的ルールを定めたもの」です。

 

 

少し細かい話になりますが、「憲法」という概念は、使われ方によって『固有の意味における憲法』と『近代的意味における憲法』の2つに分類されます。  

 

「国家の基本的なルールを定めたもの」という意味で「憲法」という言葉を使った場合、それは『固有の意味における憲法』です。

 

それに対して、『近代的意味における憲法』は、基本的ルールを定めるだけではなく、人権を国家に先立つものとして確認した憲法のことを指します。

1789年のフランス人権宣言16条は、「権利の保障が確立されず、権力の分立が定められていないすべての社会は、憲法をもたない」と規定していますが、ここで使われている「憲法」という言葉は、『近代的意味における憲法』です。

 

大日本帝国憲法は「憲法」という文字が入っていますが、フランス人権宣言16条の主旨とはかけ離れたものであり、『近代的意味における憲法』ではありません。

 

 

では次に、憲法の特徴についてお話します。

憲法には次の3つの特徴があります。

1.憲法には自らの力で別の法規範(ex.法律)を作り出す能力がある

2.憲法の内容に反する法規範は許されない

3.憲法はすべての法規範の頂点に立つ

 

日本国憲法98条は、「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。」と規定しています。

これは、上記の特徴を確認した条文です。

 

また、日本国憲法99条は「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と規定しており、為政者は憲法の擁護義務を負っています。

 

 

リンク: 条文「日本国憲法」

 

 

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不動産購入の際には「重要事項説明書」の確認を!

次のような相談がありました。

 

 

『不動産業者から居住目的で更地を購入したところ、契約後に条例による制限で家を建てれないことがわかった。契約を解除して代金を取り戻せないか? 』

 

 

宅建業者は、契約が成立する前に取引主任者をして取引物件と取引条件等について一定の重要な事項を記載した書面(重要事項説明書)を買主に交付し、説明をする義務があります(宅建業法35条)。

 

説明をしなければならない事項の中には「都市計画法・建築基準法その他の法令に基づく制限の概要」及び「契約をするかどうかの判断に重要な影響を及ぼす事項」があり、 条例による建築制限はこれらの説明事項に含まれます

 

そのため、契約が成立する前に不動産業者から条例による制限があることの説明を受けてなかった場合には、不動産業者の説明義務違反となり、契約の解除もしくは損害賠償請求が可能です。また、不動産業者は宅建業法違反により行政処分を受けることになります。

 

 

このように、宅建業者の行う重要事項の説明は、不動産の購入に際して大変重要なものです。重要事項説明書は必ず契約前にもらい、確かめたいこと、不明な点や疑問点を遠慮なく質問し、その説明を良く理解したうえで契約するか否かを決めましょう。また、説明を受ける際には必ず取引主任者証を確認しましょう

 

 

法の女神テミス

東京都千代田区隼町にある最高裁判所には、法の女神テミス像(写真の像は中央大学多摩キャンパス内のもの)が置かれています。

 

女神テミスは剣と天秤を手にしており、それぞれ「力」と「正義」を象徴しているとされます。

これは、「剣なき秤は無力、秤なき剣は暴力」に過ぎず、法とそれを執行する力とは両輪の関係にあることを表しています。

 

また、女神テミスが目隠しをしている像も多くあり、これは女神テミスが前に立つ者の顔を見ないことを示し、法は貧富や権力の有無に関係なくすべての人に等しく適用されるべきとの理念を体現したものとされています。

 

これらの理念は、法の執行にかかわる者全てが肝に銘じておかなければならないことです。

弁護士のバッジにはこの女神の天秤が描かれています。

 

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Q.借金の整理をしたいと考えています。どのような方法がありますか?

A.

 まず、利息制限法で決められた利率の上限を超える金利で借金をしている場合には、引直し計算を行います。この結果、すでに借金の全額の返済を終えており、払いすぎた金額がある場合には過払金請求を行います。

 

 引直し計算をしても借金が残る場合には、任意整理特定調停自己破産個人再生などの手続から最適な手続を選び、利用することとなります。

 

 任意整理とは、「債務者」である借主と、「債権者」である金融業者やクレジットカード会社、信販会社などが弁護士や司法書士を通して話し合いを行い、今後の返済方法を決める手続です。多くの場合、3年から5年くらいの期間内に分割で支払う、というのが具体的な返済方法となります。

 ただし、任意整理はあくまでも話し合いによって解決を図る手続のため、債務者側の提案に応じない債権者がいる場合、任意整理をするのは難しいこともあります。

 

 特定調停とは、借金の返済ができなくなるおそれのある債務者の経済的再生を図るため、簡易裁判所で行われる調停手続です。債権者と債務者が返済方法について合意した場合、裁判所で調停調書を作成します。債務者が返済方法を守らないときは、債権者はこの調停調書に基づいて強制執行をすることもできます。

 

 自己破産は、債務者が支払不能の状況に陥った場合に、債務者自身が裁判所に申立てを行い、裁判所が債務者の財産を債権者に公平に分配するための手続です。免責が許可されると、法律上、借金の返済義務がなくなります。

 

 個人再生は、小規模個人再生給与所得者個人再生の2種類の手続に分けられますが、いずれも、返済すべき債務額を民事再生法の定める方法によって減額し、3年(特別な事情があれば、最長5年まで延長することができます。)間の分割払いで返済するための手続です。ただし、ある程度まとまった額の定期的な収入がなければ利用することができません。

 

 

 

Q.長い間、高い金利の支払いを続けてきたのですが、支払った金額の一部を取り戻すことができるというのは本当ですか?

A.

 利息制限法という法律に、利率の上限が定められています。

 具体的には、

  元本の額が10万円未満の場合          年20%

       10万円以上100万円未満の場合   年18%

       100万円以上の場合         年15%

 となっています(利限法1条)。

 

 この制限利率を超える利率で契約をした場合、制限利率を超える部分は無効となります。

 例えば、100万円を年29%の利率で借りた場合、利息制限法上の制限利率年15%を超えているため、無効となり、年15%の利息を支払えばよくなります。

 

 では、利息制限法上の利率を超える、支払う必要のない利息を支払ってしまった場合どうなるのかというと、まず、元本に充当されます。

 例えば、利息として1万円支払えばよいのに、1万5000円を支払ってしまった場合、支払う必要のなかった5000円分については、元本に充当されることになります。

 このように、取引の当初から支払った金額を利息制限法上の利率による利息と元本に振り分けて計算しなおすことを、利息制限法による「引直し計算」といいます。

 

 引直し計算の結果、元本及び利息制限法上の利率による利息の全額の返済が終わっていたにもかかわらず、それを知らないまま支払いを続けていた場合、払い過ぎた分を「過払い金」として取り戻すことができます(不当利得返還請求)。

  

 以前、貸金業法という法律に「みなし弁済」という規定があり、業者はこの規定を盾にして過払い金の返還に応じませんでした。しかし、平成18年に貸金業法が改正され、「みなし弁済」規定は削除されました。

 

 

 

2月は「相続登記はお済ですか月間」です<相談無料>

2月1日~2月29日までの間、当事務所では相続登記に関する無料相談を実施します。

 

 相続登記を何代にもわたって放置しておくと権利関係が複雑になり、後日さまざまなトラブルが発生します。

 司法書士会では、この事実を市民に対して呼びかけ、放置されている相続登記がないかどうか点検と確認を目的とし、相続登記に関する無料相談活動を実施します。

 

相続登記がきちんとされているか不明な場合、当職が登記事項証明書を取得し、相続登記の有無を確認いたします。(※証明書取得費用および手数料がかかります。)

 

 

・お問い合わせ

 高田法務司法書士事務所

 〒430-0946

 静岡県浜松市中区元城町216番地の11 鴻池元城ビル2階C-3

(浜松市役所から徒歩3分)

 TEL:053-450-7730

 FAX:053-450-7731

 

 

<司法書士の主な仕事>

・不動産の権利に関する登記申請手続の代理及び書類の作成

・会社や法人の登記申請手続の代理及び書類の作成

・家賃、地代等の供託手続の代理及び供託書の作成

・訴訟書類などの作成、少額な訴訟手続等の代理

・法務局に対する権利の登記又は供託に関する審査請求手続の代理

 

 

 

日本人は訴訟嫌い!?

以前、貸金返還請求のご依頼を受けました。

要するに、「知人にお金を貸したのだけれど返して貰えないので、裁判を起こして取り返したい」という依頼です。

 

日本人は「訴訟嫌い」という国民性があるとよく耳にしますが、そもそも好きで訴訟を起こす人などいないわけで、訴訟を起こさざるを得ない状況があるから、訴訟を起こすことになるわけです。

それは好き嫌いの問題ではないと私は思うのですが、どうでしょうか。

 

もし「訴訟嫌い」という言葉が、訴訟を起こす必要性があるにもかかわらず、それを避ける。訴訟沙汰と聞くとネガティブなイメージがあるから訴訟にはしない、という国民性を指してるのだとしたら、異論はあるでしょうが、私は不健全であると感じます。

 

訴訟を起こさずに、当事者間の話し合いのみで紛争が解決するのなら、もちろんそれに越したことはないわけですが、むしろ、当事者間の話し合いでは解決しないからこそ紛争と呼べるわけです。

 

では、当事者間の話し合いで解決しないなら、どうするのか。

(1)泣き寝入りをする

(2)暴力的・違法的手段に出る

(3)第三者に判断を委ねる

大まかに分けて、上記3通りの選択肢があると思います。

 

(1)(2)の選択肢が健全とは言えないことは同意していただけると思うので、(3)第三者に判断を委ねることになります。

ただ、第三者といっても、どちらかに肩入れをしたり、好き嫌いで物事を判断をするような人に判断を委ねることはできません。

 

そのため、公の機関であり、好き嫌いではなく客観的な法律という基準に従い、証拠によって判断をする裁判所に訴訟を起こすことになります。

つまり、訴訟とは公平に争いを解決するためのものであって、それを嫌うというのは私には強い違和感を感じます。

 

ですから、訴訟を起こすことに後ろめたさや抵抗を感じる必要はありません。

法律という客観的基準に従って解決する以上、必ずしも自分の望む結果が出るとは限りませんが、 他の方法に比べて訴訟は公平な解決方法です。

 

ただ、この「公平さ」というものは、当事者双方が同等の法律知識を持っているという前提で成り立っています。

裁判所は、当事者間に不平等にならない限度で書類の書き方等教えてくれますが、どちらか一方に肩入れすることはできないため、法律の素人の方が自分でやろうとするとどうしても限界があります。

訴訟を起こそうと考えている方は、法律の専門家である弁護士や司法書士にご依頼されることをお勧めします。

 

 

 

はじめまして

はじめまして、司法書士の高田啓です。

    

まずは自己紹介、ということで、私が司法書士を志した理由を書きたいと思います。

 

私が司法書士になろうと考えたのは、大学2年から3年にかけての頃です。

 

日本は(議論はありますが)「法治国家」ですが、大学で法律学を専攻しない限り、学校で法律をしっかりと勉強する機会がありません。

 

人は毎日のように契約を結んで生活をするにもかかわらず、契約が守られなかったときにどうすればよいのかすら、義務教育では教えてもらえません。

 

私は、幼い頃から自分を縛り付ける「ルール」というものに反感を持っていました。

正確には、「ルールだから」という一言によってすべてを済ませてしまうことを、正しいこととは思えませんでした。 

 

大学の法学部に入り、法律を本格的に勉強するようになって、一口に「ルール」といっても様々な種類があるということを学びました。

たとえば、「常識」というものも「ルール」の一つですが、「常識」は職業や世代、場所によっても変わってくるものであり、あやふやなものです。

この「常識」という言葉のもとに権利が侵害されることは、少なくありません。

 

つまり、「常識」というものはとても曖昧であり、人間が1億人いれば1億通りの価値観や考え方がある。

だからこそ、「法律」という共通の決まりごとが必要になるのです。

 

それじゃあ何故、法律を共通の決まりごととして使うことが許されるのか?

一言で言えば、法律は日本国民みんなで作るものだから。

正確には、日本国民が選挙によって選んだ国会議員が法律を作るからです。

 

とはいえ、法律に定められたことが絶対という訳ではありません。

「悪法も法」という言葉がありますが、この言葉がまかり通るような社会は真の「法治国家」とは言えないのです。

たとえ法律で決められたことといえども、「基本的人権」を侵害することは許されません。

 

基本的人権は日本国憲法に条文として記載されていますが、国から与えられているわけではありません。

人が人であるだけで、生まれながらにして有している権利が基本的人権です。

日本国憲法はこれを条文として記載することによって、基本的人権の内容を確認しているに過ぎません。

基本的人権は「前国家的権利」と呼ばれています。つまり、基本的人権は国家よりも前に存在しているものだという意味です。

 

そして、裁判所は「違憲立法審査権」を有しています。

「違憲立法審査権」とは 、裁判所が、法律、政令、条例などが憲法に違反していないかを審査し、違反している場合はそれを無効とする権限のことです。

このように、たとえ国民みんなで決めた法律といえども基本的人権を侵害することはできないのです。

 

今まで長々と書いてきましたが、私はなにも「ルール」を守らなくてもよいと言いたいわけではありません。

社会が成り立ち、円滑に回るためには、「ルール」は必要不可欠のものです。

ただ、「ルール」は手段であって目的ではありません。

「ルール」について考えるとき、大事なのはその「ルール」が何のためにあるのか、ということです。

場合によっては、「ルール」を守らせることが間違った結果になることもあります。

特に「常識」というものは、結局のところ個人の価値観でしかないため、「常識」を人に押し付けるのはただのわがままだということになりかねません。

 

話が逸れましたが、私が司法書士を志した理由は、「ルール」や「常識」といった言葉のもとに理不尽な目に遭っている人々の権利を護ることのできる、法律に携わる仕事に魅力を感じたからです。